笠井叡・天使館@世田谷パブリックシアター ダンス食堂

世田谷パブリックシアターのダンス食堂という企画に参加。

これは講演、舞台公演、ワークショップと三部構成になっている。

最近は公演後にアフタートークといってアーティストが語るというものはあるが、ビフォアートークなのです。

前回の山田うんさんのダンス食堂(講演ワークショップ)が良かったので、気軽に申し込んだのです。

そうしたら・・・

涙があふれてくるほど魂が感動したんです。

 

講演の前に今日の内容を読んだら、シュタイナーとかオイリュトミーとみーとか書いてあるんです。

精神世界を探求したことのある人ならピンとくるキーワードです。

しかもどちらも体験したことがあるのです。

 

ダンサーの笠井叡さんが紹介されでて来られて、いきなり

「こっちに行くのか・・・・・それともこっちに行くのか・・・」

と踊り始めたのです。

 

一番前のど真ん中に座っていて、50cmという近さですよ。

「僕にとっては大きな問題なんです。」と体を動かしながら語りかけてくるのです。

頭の中では何もわかっていないのです。

今ここで一番気になっていることを本気で伝える想いがバンと僕の中に入ってきたんですね。

話す内容ではなく、在り方が伝わってきたのです。

ブワッと涙が溢れそうになりました。

 

イスラム国の話から始まり、ダンスは暴力的だと続いていく。

ダンスの根元のエネルギーは暴力と何も変わらない。

ナイフで体に触れる手前まで同じエネルギーなんだ。

そこで、こっちに行くのか、それともこっちへ行くのか。

大きな違いなんだと話は進んで行く。

 

笠井さんってとっても色気があるのです。

こういう色気がある人ってまず見かけないのです。

僕が女性だったら抱かれたいと思うのでしょう。

男性の僕としては、普通こういう時に嫉妬がでてくるのです。

笠井さんの場合、この嫉妬さえさせてくれない感じなんです。

ただやっと出会えたんだという感動だけがそこにありました。

 

ずっと日本刀を突きつけられている感じなんです。

でもね、皮膚に触れているんだけど切れないんです。

こちらが逃げても離れない、近づいても刺されない。

まるでダンスを踊っているような緊張感がありました。

真剣に対峙するしかないのです。

 

メモなんてとっている暇はありません。

一挙手一投足を目に映していたい。

そんな衝動にかられました。

 

体の動きも足先、指先まで神経が行き届いている。

それを年月をかけて鍛え上げた迫力があるのです。

自分が腑に落ちたことしか語らない。

言葉だけで伝えられなければ体で伝えてくる。

もうすごいとしかいいようがない。

 

ダンスとは、作品主義とダンサー主義がある。

心臓は、胸のところにある臓器だけでなく、毛細血管も含めて心臓だ。そして、そのエネルギーは体の外にまででてきてエーテル体になる。

がん細胞は元気そのもの、体が病気なんだ。

インディビジュアルの正しい訳語は、全体の反対なんだから個体なんだ。

個体が全体を凌駕する。

悪が単体で出現する時代に立ち会えてしまった。

寝ている時に覚醒する。

普段起きている時に人は寝ているのだ。

出会って関係ができることに意味がある。振り付け関係という関係性が面白い。

意図のない動きが最高のダンス。

介護福祉施設のドアを通る人たちを見ていて意図のない動きにダンスの見方が変わった。

 

ひとつの壮大なる作品をまるで車座の中で見ているような距離感で感じられました。

本当に最高でした。
天使館 笠井叡◉新作『今晩は荒れ模様』のチケット早速ゲットしました。

 

家に帰ってパートナーに興奮して前のめりに話したら、

「その人のオイリュトミーを見たことがある。止まった時の姿が美しかったんだ。

あの人ならば、講演も良かったのがわかる。色気あるよね。もうだいぶお年になったんじゃない?」

という会話があったり。

 

この感動を言葉だけで伝えられないから人は踊ったり歌ったりするんだろうな。


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